読書論

【書評】震度7の生存確率

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本日、北海道で震度6弱の地震が発生しました。

昨年の9月以来の大きな地震でしたが、
今のところ停電などの被害は出ていないようです。

昨年の地震から半年近くが経過しましたが、
やはり思い出してしまいました。

それとともに少しずつ風化していることも実感。

あの時に読んだ本のことを思い出し、
今日は改めて地震のことを学ぶ日にしようと思いました。

震度7の生存確率 著/仲西宏之・佐藤和彦

この本では、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した時に、生き残るためにどうしたら良いのか実践的な知識として示唆してくれています。

序盤は質問形式で地震時に想定される状況を考えます。

表紙にも書かれていますが、

Q:学校で授業中に地震が発生しました。その時あなたは?

1.すぐに机の下に身を隠す。
2.窓ガラスから離れて机や椅子、ロッカーに当たらないように気をつけながら頭を保護してしゃがむ。
3.すぐに教室を飛び出して、どこにでも避難できるように廊下に逃げる。

それぞれの生存確率は、

1.60%
2.80%
3.50%

となっています。

けっこう1番を選ぶ人が多いのではないでしょうか?
僕は選んでしまいましたが、
避難訓練では1番ですよね。

実践的には2番を選択することが生存確率を高めます。

もちろん理由があります。
ここでは説明を省略しますが、できればこの本を読んでいただきたい。

今までの常識が音を立てて崩れていくことでしょう。

巨大地震発生時に生き残るために一番大事なことは、
発生時に怪我をしないことです。

この本を読むとその理由がよく分かります。

本当に知っておくことが大切なんだと心から思いました。

麻痺の話が出てきます。

動物は、極度の恐怖にさらされると完全に活動を停止する強い本能を持っているようです。人間も例外ではなく、麻痺が起こります。

 

危険にさらされている最中に、動けなくなる反応が起こるというのです。

動物が捕食者に襲われた時、麻痺状態になると捕食者の攻撃から生き延びる可能性が高くなるそうです。

つまり、動きを止めることで、捕食者に自分が病気や腐っているから食べちゃダメだよという偽のシグナルを送り、生き延びようという捨て身の戦法です。

これは、その通りだと僕は思います。

僕は野生動物の写真撮影が趣味なので、一般の人よりも野生動物に触れる機会がすごく多いです。

実際に見るだけでなく、動画などを見る機会も多く、あまりすすんで見たくはありませんが捕食シーンなんかも見るわけです。

すると、動物は本当の危機に直面すると、本当に全く動かなくなります。そして、それによって生き延びる場面も何度も見てきました。

人間にもこれが起こるというわけです。

そして、
「発災の瞬間に動けなくなることを頭に入れておく」

これが命を救います。

動けなくなることを知っていれば、実際の場面で金縛りを解除できる。
これがこの本で最大の収穫でした。

数々の知識を獲得できる本ですが、後半はフィクションの物語になっており、東京で働くサラリーマンが発災を生き残り、家族と再会を果たした後に、南海トラフ巨大地震が襲うという設定です。

そうなると、大都市部が一体どうなってしまうのか?

けっこうリアルに描写されていて、疑似体験ができてとても良いです。

 

他の防災本と違うところは、「発災の瞬間」に焦点を当てていることです。
発災の瞬間を生き残れなければ、そこで人生は終わり。

とことんリアルなところが非常にいいですね。

地震大国に住む日本人は、
この本を読んでおいて損はないです。

是非この機会にいかがでしょうか?
おすすめです。

 
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ABOUT ME
ホリー
多様な専門領域の基礎を網羅的に学び、統括的な洞察力を身につけることがライフワークです。まずは知ることから全てが始まる。この世界の実相を掴むことで、判断し、選択する力を身につけ、自由に、豊かに、自分の人生を生きる。心理学、政治、ニュース、環境、エネルギー、食、健康など専門領域を超え、多岐にわたって学び続けています。心理学を7年学び、自分作りを継続中。北海道在住。