※ネタバレありあり
楽しみにしていた映画「天気の子」を観てきました。
僕が期待していたほど日本の本質を強く押し出してきませんでしたが、その要素を感じるシーンも多々ありました♪
それにしても天気をテーマにしたのはよかったなぁ。改めて天気がどれほど僕たちの感情に影響を与えているのかを実感することができました。
愛にできることはまだあるよ
タイトルが天気の子ですから、当然天気の話何ですが、僕はこの映画のもう一つのテーマは「愛」なのだと強く感じました。
主題歌のタイトルである「愛にできることはまだあるかい」
天気の子を観ていると、この意味がよくわかります。
言葉の紡ぎ方が絶妙で、映画に完全にリンクしている。
相変わらずRADWIMPS・野田洋次郎の感性は素晴らしい。
歌詞の最後に「愛にできることはまだあるよ」に変わるのがまたにくいなぁ。
映画の展開が進むにつれ、愛の力をどんどん強く感じていくことになるのですが、歌詞と同じように、愛にできることはまだあるかいから、最後はまだあるよに確信させられます。
お見事。
この曲を含めて天気の子では主題歌が5曲流れますが、これを全部聞くとどんな映画なのか、その輪郭が浮かび上がってきますね。
宮崎駿監督とはまた違った形で、音楽をこんなに大切にする監督がいるんだなぁと感動しました。
天気の子は愛という力を推進力にして、情熱全開で人生を切り開いていく後半の展開は、勇気と希望を与えてくれます。
ストーリー、映像、音楽など、総合的に超ハイレベルな作品だと感じました。とりあえずそのうちもう一回観に行こうと思います。
コントロール幻想を手放す
心理学でコントロール幻想という言葉があります。
現代人は昔の人と比べて便利な生活をすることによって、何でもコントロールできるものだという幻想を抱きます。
つまり、コントロールできないことに出くわすと、途端に耐えることができなくなるのです。
運転の仕方が気に入らないと煽り運転をしたり、子供が通う学校にありえないようなクレームをつけてみたり、
いわゆる近年のモンスターペアレントは、コントロール幻想を抱く人が増えたためだと考えられています。
でも最近は一昔前に比べるとモンスターが減ってきているように感じます。
格差社会の広がりがそうさせているのかもしれませんが、天気の子でも、穂高も陽菜も貧しいわけです。
コントロールできないことだらけの生活の中で、なんと陽菜は天気をコントロールできてしまう。正確には「晴れをコントロールできる」ですね。
天気の子では、大きな大きな自然現象をコントロールする力と、全然人生をコントロールできない無力な自分という両面を描いています。
穂高が、「天気なんて狂ったままでいいんだ!」と叫ぶシーンがありますが、最後はコントロール幻想を手放し、地に足をつけて、自分がコントロールできる範囲だけに全力を尽くすことで目の前の道を切り開きます。
「世界なんてどうせもともと狂っている」というセリフも同様の意味ですね。
その時代ごとに必ず現れる社会通念や常識、世界情勢、気候など、コントロールできないことはそのままでいい。
それでも、
愛にできることはまだあるよ
僕にできることはまだあるよ
周囲は関係ない。今の自分を全力で生きようぜ!
そんな希望を抱かせてくれます。
「僕たちは大丈夫だ」
この言葉もとても深い。
天気の子は、思っていた以上に新海監督のメッセージ性の強い映画だと僕は思います。
何回か観るともっと深堀りできそうな作品ですね。
おまけ 八方睨みの雲龍図
これは完全に僕の興味ですが、以前から一度行ってみたいと思っていた、世界遺産・天龍寺の法堂にある八方睨みの雲龍図がモデルと思われる天井画が映画に登場しましたね。
ぐるりと一回りしながら龍を見ると、どの位置からでも龍と目が合うと言われています。
映画ではここで龍を見ながら、天気の巫女の話や、「天気とは天の気分、計り知れないんじゃ」という話をしていました。
この一連のシーンが、新海誠監督の映画の奥深さを生み出していると僕は思っています。
こういう深い知識や歴史などの背景を大切にしているからこそ、一つ一つの描写やストーリーが心に響くんでしょうねぇ。なんかうまく表現できませんが…。
僕は人間なんて本当にちっぽけな存在だと思っているんです。
しかし一方で、体の中や思考や想像は宇宙のように広く大きい。そう思っています。
この辺りの思想が新海誠監督と共有できている気がします。
終わりに
とりあえず公開初日の今日、観てきたのでブログにしたためてみましたが、最低でもあと一回は観ると思いますので、また描いてみたいなと思っています。
それにしても、天照大御神ではなく、天気の巫女だったかぁ。。実際に映画を観ると、人柱の方がストーリーがしっくりきますしね。
今日、久しぶりに映画館に行ったのですが、アナと雪の女王2やマトリックス20周年4D上映、ターミネーター、人間失格など面白そうな映画がたくさん控えているようで楽しみです。
映画って本当に素晴らしいものですね。
では、また。