この本を読み、とても興奮しました。
とにかく具体的な事例に基づいた考察が多く、自分の実体験にも重なる部分が多く、納得して行動に移そうと思わせてくれるからです。
一人でも多くの人に読んでほしい「ORIGINALS」ですが、特に納得性が高く、あなたにも役立つであろう内容の一部をピックアップしてご紹介いたします。
【超良書】ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 に学ぶ
すごい数の付箋を貼りすぎてしまったので、ごく一部だけですが、ご紹介します。
成功したいなら、カエルにキスをしろ
・シェイクスピアの作品のうち、私たちが慣れ親しんでいるのはほんの少数。実は20年間に37の戯曲と154の短い詩を書いている。
・一握りの傑作を生み出すために、モーツァルトは600曲、ベートーベンは650曲、バッハは1000曲以上創作した。皆、平凡な曲を大量に生み出している。
・エジソンは1093の特許を保有しているにもかかわらず、最高傑作と言えるのは片方の手に収まるほどだ。
これを読むと、誰もが知っているようなもっとも優れた創作者でも、決して天才ではないことがわかります。大量な蓄積により、アイデアが生み出されるのだというカラクリがわかります。僕はシンプルに量を生み出そうと思いました。
なぜならその先に質があることがわかってしまったから。
この本には、このように具体的な事例や数字であらゆる説明がされており、その主張や現象の理由が明確に書かれていることで心の底から理解できるような設計になっています。
読み進めるほどに、自分がオリジナリティを発揮できる人間であり、その理由がわかってしまいますので、「そりゃやらない理由はないよね。」となってしまいます。完全に超良書です。
直感は、自分の経験が豊富にある分野においてのみ正しい
デザインの研究チームは、被験者に有名ブランドのハンドバッグを10個見せ、本物か偽物かを判断させるという実験をした。被験者の半数は5秒間しか考える時間を与えられず、勘に頼るしかなかった。残りの半数には30秒が与えられ、じっくり観察して特徴を分析できた。
(中略)
おもしろいことに、ブランドのハンドバッグの所有者ならば、与えられる時間が短ければ短いほど、正確な判断ができることがわかった。
いくつも所有したことのある人は、バッグを見る時間が5秒のみのときの判断は、なんと30秒のときの判断よりも22%も精度が高かった。
こういう実験と結果がこの本にはたくさん書かれています。そして、自分の経験と重なる部分が必ずあるので、納得させられてしまいます。
僕は食品の食べ比べや、コーヒー、お酒の飲み比べなどを過去に何度もやったことがありますが、集中して真剣にやり始めると、比べれば比べるほど途中で違いがわからなくなってくるんです。
はっきり言って、最初の一口の印象というか直感のようなものが一番あてになる気がします。まさにこの実験結果に、実体験がリンクするわけです。
「考えるんじゃない、感じろ」とか、「いつだって自分の直感が正しい」とかよく言いますが、論理的に自分の直感がいつ、あてになるかというのがオリジナルズを読むとわかってしまうんですね。素晴らしいと思いませんか?
自分のアイデアは人には伝わらない
次にあげるのは、どれもよく知られた曲ばかりだ。このうち一つを選び、その曲のリズムの通りにテーブルをたたいてみてほしい。
・「ハッピー・バースデー」
・「メリーさんの羊」
・「ジングルベル」
・「ロック・アラウンド・ザ・ロック」
・「きらきら星」
・「星条旗」さて、横でたたいている友人の一人が、たたいている曲を当てられる確率はどのくらいだと思うか?
曲の正答率は50%という予測だった。しかし実際にやってみると、正答率はわずか2.5%。
大部分のケースでは、多くの人が自信過剰である。「聴き手にはそのメロディーが聞こえない。聞こえるのは、モールス信号のように脈絡のない奇妙なリズムだけだ。」
自分のアイデアを伝えることがむずかしい最大の理由はここにある。新しい案を提示するときに、曲が鳴っているのは自分の頭の中だけなのだ。しかも問題はそれだけではない。自分自身が「作曲者」なのだ。
僕自身、元営業マンであり、社長や上司、チームのメンバーに提案することが何度もあったため、この事実はあまりにショッキングで倒れそうになってしまった。
なんと、自分が作曲した曲を「わかるでしょ?」という感じで理解してもらおうとしていたのだ。
伝わるはずがないではないか。まいったね。もっと早くオリジナルズを読んでおけばよかったと後悔してもあとの祭り。
だがしかし、この前後の文章も全て読むと、伝えるということのカラクリがわかり、「無関心から情熱」へ相手を変えるための方法、状況を変えるための方法を理解することができるので、やはりこれもブラボーとしか言いようがない。
「行ない」よりも「人柄」を褒める
「ビー玉をあの子にあげたでしょう。君はいいことをしたね。とても素晴らしいことだ。人の役に立つ行ないができたね。」
「君はいつでも、他の人を助けたいと思っているんだね。君は本当に素晴らしい子で、人の役に立てる子だね。」
「人の役に立てる子だ」と褒められた子供のうち45%が、入院している子供を元気付けるために図工の材料を寄付したが、「役に立つ行ないができた」と褒められた子供のうちでは10%に留まった。
人柄を褒められると、それを自分のアイデンティティの一部として取り込むのである。自分は本来、道徳心の高い人間なのだという、より統合的な自己概念が形成されていくのだ。
人柄を認められるということは、子供たちに強いアイデンティティが形成され始める重要な時期に、もっとも強い影響力を及ぼすようだ。
これは「心理学を用いた自分づくり」を実践している僕にとっては、とてもよく理解できる話です。doingではなくbeingを重要視せよと言われます。やり方ではなく「在り方」に目を向けることで自己受容が深まっていくのです。
ここでは、「不正をしないでください」という言い方ではなくて、「不正を働く人にならないでください」という言い方に変えることで、不正をする被験者が半分になったそうです。
論理的にも感覚的にも非常にわかりやすいですよね。
ただしある研究では、8歳の子供は道徳的な行ないが増えたが、5歳や10歳は増えなかったそうです。10歳だと自己概念がかなりかなり確立されており、5歳だと年齢が低すぎたようです。
先の「直感」の話でもそうでしたが、こういったものは全ての人に当てはまらないというのも常に頭に置いておくべきだと思います。
終わりに
本当はお伝えしたいポイントがまだまだたくさんあるのですが、ぜひ一度読んでみてください。
全部を通して読むことで、著者が伝えたいことを理解することができます。これほどの良書はなかなかないので、強くおすすめしたいと思います。
では、また!